届かぬチャットがまた一つ

ぬるい話
UnsplashVolodymyr Hryshchenkoが撮影した写真

先日、効率的な論文の調べ方を教えてくれるオンライン講習会に参加した。僕は学部二年生であるが、「二年生です」というと大抵修士二年だと勘違いされる。決して老けているのではない。落ちついているのだ。たぶん。

しかし、もうすぐ二年生が終わろうとしている。来年度からこのネタが使えなくなるのが少し寂しい。

学部三年生バージョンもできなくもないが、「三年生っていうと博士三年だと間違えられるんですよね~」と言って、「確かに、わかる~!」という反応が返ってきたらさすがにショックだ。

とにかく、僕はまだまだひよっこの学部生で、研究をしたことも、論文を真面目に読んだこともない。場違いかもしれないと思ったが、「その日程空いてるし、知っておいて損はないよな」という軽い気持ちで講習会に申し込んだ。

ただ、始まる直前になって、「年上ばっかりだったらどうしよう」「僕が聞きに行くのは早すぎるかも」と心配になってきた。いや、ここまできて引き返すわけにはいかない。自己紹介の時間でもあったら、上記のネタでも披露しよう。不安と挑戦の気持ちが入り交じる、レベルの高い心理状態であった。

開始時刻になった。講演会へ、いざ、参らん!

そこにはすでに、二人の方がいた。そう、わずか二人である。

僕は最初、控え室用のブレイクアウトルームに飛ばされているのかと思った。だがすぐに、講師と思わしきおばさんが説明を始めた。どうやら、参加者は僕ともう一人の二人だけらしい。

「お時間になりましたので始めさせていただきます。本日はご参加いただき誠にありがとうございます。・・・参加者の皆様は、画面オフとミュートにさせていただいております。質問がございましたら、チャットにお送りください。説明後に回答させていただきます。」

開始30秒での独裁支配宣言により、かすかに希望を抱いていた自己紹介タイムは散った。

おばさんはその後も、まるでを音楽を再生しているかのような、淀みのない説明をしてくれた。

この手の講演会では、内容が掴めるやいなや退出する人も多いのだが、僕ももう一人の参加者の方も、最後まで残り続けていた。おばさんの説明が終わった頃には、僕はこのバディに親しみを感じていた。顔も声も聞こえないながらも、たった二人の参加者として時間を共にしたのだから。

講習会も終盤に差し掛かった。おばさんは、質問タイムを始めた。

「それでは、ご質問の時間にいたします。あ、〇〇さん(バディの名前)からすでにチャットに来ていましたね。えーと、『音声が聞こえません』」

バディィィィィ!!!!!聞こえてなかったんかーい!!!!!!

いつから音声が聞こえていなかったのかは不明だ。もしこのヘルプコールが講演開始直後に送られていたのだとしたら、、、実際におばさんの話を聞いていたのは僕だけである。

コミュニケーションは相手がいるから成り立つもの。論文の調ベ方よりも、大切なことを教わった。

P.S.
今回、僕は講演会を独り占めする結果となりました(画面オフ&ミュートなので何もできませんでしたが笑)。ふと、高3の夏、映画「天気の子」を観に行ったことを思い出しました。実はその日、台風が直撃して、観客は僕一人だけだったんです!とはいえ、こだわりのミニシアター(めっちゃでかいテレビ)が売りの地元の映画館だったので、そこまでレアな出来事ではないですけどね。

早く「すずめの戸締まりが観たい」です。今誰かに感想を求められても、「戸締まりはちゃんとしようと思った」という、観てないことが一瞬でバレるコメントしかできません笑。

まだまだ上映するでしょうから、2学期をやりきって観に行きます。

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