「人と比べない」ではなく「色んな物差しを持つ」

劣等感を感じた時、あなたはどうしますか。人と比べる自分のことを、もっと嫌いになりますか。

僕は英語でディスカッションする授業を取っている。クラスは10人ほどで、僕を含めそのほとんどが英会話初心者だ。でもその中で、ずば抜けてしゃべれる人がいる。この前、そんな彼と授業後に話した。

面白かった。でもちょっと後悔した。

彼のTOEFL-ibt(TOEICよりはるかに難しい)のスコアはほぼ満点。彼はもともと、海外の大学に入学したかったが、コロナの影響で断念したという。さらに、彼がプログラミング教師のバイトをしていることも知った。

曇天の中、自転車を押して帰った。同じ学年なのに、これほどの差があるなんて。英語はまだまだ話せないし、プログラミングだって全然わからない。

そんな時、空のペットボトルを見つけた。そしてそれを自転車のカゴに入れた。僕は、気が向いた時はゴミを拾うようにしている。その時に思った。待てよ、彼は落ちてるゴミを拾わないかもしれない。そもそもゴミ拾う人ってそんなにいないかもしれない。

「人と比べるな」
よく言われることだし、大切なことだと思う。でも、他人と比べずに生きるのは難しい。それに、比較をしてこそ、見えてくる長所もある。

「人と比べる」よりも「沢山の物差しを持つ」こと。
あの人の方が仕事はできる。でも私の方が気配り上手。
あいつの方が運動できる。でも俺の方が本を読む。

ただ意地を張っているだけなのかもしれない。でも沢山の物差しを持っていれば、だんだんと、自分にも他人にも、それぞれいいところがあると思えてくる。それに物差しは、点数や資格だけじゃない。整理整頓。感謝を伝える。そんな「形にならない物差し」はいくらでもある。

劣等感を感じる時。それは無数にある物差しから、何個かを取り出して使っているだけ。

高校時代、例の彼がパソコンをいじっている間、僕は耳をほじっていたのだろう。勉強では叶わないかもしれないけど、僕の方がユーモアがあるはずだ。きっと笑。そう思うと、お互いいいところがあって、今度はもっと楽しくおしゃべりできる気がした。

曇天から一筋の光が差し込んだ。それを追いかけるように、僕は自転車を漕ぎだした。

P.S.1
最後の一文は爽やかな印象を与えがちですが、僕はかっこよく自転車に乗り降りできません。止まった自転車に股がり、地面を蹴って加速する闘牛スタイルです。

P.S.2
この記事をバイト先の先輩に読んでもらったら、「相対評価より絶対評価するのもおすすめ」と教えていただきました。こっちの記事に書いています→ちょっとグレ始めた14歳の君へ

P.S.3
空のペットボトルを自転車のカゴに入れて凸凹の道を走ると、ボンゴのような音が出ることに気付きました。部族の祭りに参加しているような気分を味わえます。ボンゴの無料の音サンプルが欲しい方にもおすすめです。

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