この本に出会ったキミは、それだけで、読書することが楽しくなる。日々の生活も圧勝。そんなお話を出血大サービスしちゃう。読むだけで、キミがカッコよくなっちゃう本をつくっちゃった。カッコよくなりたいでしょ?だったら、ぼくの話を聞きたまえ。
齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ第④巻 頭がよくなる 必殺!読書術 p7
なんという自信なのだろう。予備校のイケイケ講師が書いたのかと思いきや、著者は明治大学教授のあの齋藤孝さんだ。私は齋藤さんの他の本を読んだことがあるが、こんな断定的な口調ではなかった。
それもそのはず、この本は、齋藤さんが小学生に言いたいことを全力で書く「ガツンと一発」シリーズの一冊なのだ。齋藤さんはこの本の中で「雷オヤジ役」に見事にはまっている。
齋藤さんはこの本の中で、、、齋藤さんと書くと、トレンディエンジェルの斎藤さんが浮かんでしまうので、以後齋藤先生と書くことにする。
齋藤先生はこの本の中で、
どうして本を読まなくちゃいけないのか?
どうすれば楽しく本を読めるのか?
どうやって読みたい本を見つけるのか?
どうやって読書感想文を書くのか?
といった誰もがぶつかる疑問をズバズバと切ってくれる。
詳しい内容は買って読んでほしい。なぜなら私が書きたいのは、要約ではなく読書感想文だからだ。ここからは私が個人的に気になったことを書いていく。
読書は、映画監督になること
齋藤先生が読書で鍛えられる力として挙げているのが「想像力」だ。想像力は他の動物にはない特徴だ。人間とは不思議なもので、文字を眺めているだけで、景色が頭の中に浮かんでくる。
対して映画やアニメは、既にできあがった映像を見るだけだ。私達が想像力を働かせる余地は無い。鑑賞しているのは映画監督の想像力なのだ。
読書であれば、自由に想像を膨らますことができる。自分自身が一冊の本の映画監督になれる。登場人物の顔も声も、読み手によって変わるのだ。
そんな齋藤先生の話を読んで、私はいかにテキトーに本を読んでいたかを気付かされた。「プールで泳げるから海でも溺れないぜ!」という過信が打ち砕かれた感じだった。
映画やアニメの原作小説であれば、キャストの顔や声が読書中も浮かぶ。だが映像化されていない小説の場合、頑張っても髪の毛くらいしかイメージできない。まあ、女の子の髪型と言えば「黒髪ロング」か「ボブ」しか浮かばないのだからしかたがない。
ともあれ、映画を見る前に原作小説を読むことで、映画鑑賞の幅が広がるはずだ。新作アニメーション映画は、前もって小説が出版されることが多い。公開前に原作を読む人は、先取りの優越感に浸りたい人か、またはネタバレしたい愉快犯なのかと思っていた。だが映画を見る前に、自分の想像だけでカメラを回したい人もいるのだ。
齋藤先生もマンガを読む
この本の中では、マンガを絡めた話が2回くらい出てくる。
読書は恋愛の練習になるという話では「タッチ」が登場する。
たとえば、あだち充の『タッチ』(小学館)を読めば、「上杉達也は浅倉みなみを愛しています」というように、はっきりフルネームで、相手にちゃんと、きっちり言うことが大切だ、ということを学びますよね。
齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ第④巻 頭がよくなる 必殺!読書術 p55
「タッチ」の話がでてきたのは「アニメや映画では想像力が鍛えられない」という話の後だった。だから、「え、マンガを読むのは想像力がいらなそうだけどいいの?」と思ったが、その疑問は置いておこう。
また、文脈力(伏線をキャッチできて予測を立てる力)の話では「デス・ノート」が使われている。
ぼくが最近「この作家、文脈力がすごいなあ~」と感動したのは、『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載されている「デス・ノート」(大場つぐみ・原作、小畑健・絵)。~中略~ぼくは毎週、次を予測するんだけど、いつも予測を上回る展開。しかも毎回、「なるほど~」と言ってしまう。バツグンの文脈力です。
齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ第④巻 頭がよくなる 必殺!読書術 p80
私は、齋藤先生がマンガを読むことに驚いた。この本は2004年出版だから、ちょうどデスノートが連載されていた頃だ。今はわからないが、齋藤先生は当時、ジャンプを毎週買っていたのだろう。
著作が700冊以上という超人的な齋藤先生は、どこか別世界の住人だと思っていた。しかし齋藤先生も私たちと同じマンガを読み、目を輝かせているのだ。
その事実が私には嬉しかった。クラスのマドンナが、自分と同じ消しゴムを使っていると知ってテンションが上がるアレである。
読書は著者との一騎打ち
この一冊を通して、齋藤先生は本気で、読者に読書の門をくぐらせようとしている。
ネット検索で出てくる「読書のメリットまとめ」的な文章とは全く違うのだ。
熱量だ。文章に込められた熱量が違う。
熱量溢れる齋藤先生にはぜひ、カロリーメイトPR大使になって欲しい。
これから先、読書する人生を歩むのか、否か。迷われている方は、本書で齋藤先生との一騎打ちに挑まれてはいかがだろうか?
私は齋藤先生に見事に討ち取られ、こうして6ケ月ぶりにブログを再開した次第である。
コメント